じみロード

Every little bit helps.

三菱UFJ銀行のスーパー普通預金(メインバンク プラス)を改悪します。

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メガバンクのサービス改悪が止まらない

メガバンクの提供するサービスが年々低下している。経営理念やビジョンにお客様やサービスを掲げているメガバンク3行なのだが、一様に通帳廃止、口座維持手数料の設定、ATM統廃合と、徹底的なサービス縮小に邁進している。まるで「あなたは”お客様”ではありません」と言われているようだ。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行では来週の2021年6月1日からスーパー普通預金の優遇内容が一段と縮小される。詳細はホームページにひっそりと記載されているが、スーパー普通預金設定当初の取引残高に応じた優遇はついにすべて廃止され、優遇対象は給与・年金の受取とインターネット通帳の2種類の取引だけとなってしまった。年金生活者は年金支給に合わせて隔月でしか優遇されないのであろうか。姥捨て山は現代にも実在したのだ。

給与受取口座については、コンビニATMと他行あて振込で手数料ゼロ円となる回数が、それぞれ月2回、3回までとなる。頻繁に使用するサービスではないため実質的な影響は小さいが、それでも利用可能回数が縮小され続けるのはとにかく不愉快でしかない。特にコンビニATMが月2回までとなると当月の利用回数を気にしておく必要がある。金利0.001%の口座で数百円の手数料を支払うことはできないため、提携ATMの利用は極力避けるようになるであろうから、結果的には使えなくなったのと同じなのだ。

おざなりにPontaポイントが導入されているが、「なぜPonta?」という感想しかない。一体どのセグメントをターゲットにした施策なのだろうか。個人的にはローソンは家から遠いのでうれしくない。もらえる分はもらっておくつもりだがキャッシュバックの方が圧倒的にありがたい。

www.bk.mufg.jp

現在のところ、普通預金規定上に通帳利用手数料や口座維持手数料の取り決めは無いのだが、2021年7月1日以降に開設した口座については未利用口座管理手数料が適用されるようだ。規定に無い手数料をどうやって徴収するというのだろうか。また、”不正口座の作成・利用を防止し、お客さまに長期にわたり安心・安全で高品質な金融サービスを提供し続けるため"という建て付けのようだが、それがなぜ未利用口座に手数料を課すことになるのか、まるで合理的な説明になっていない。文句があるなら口座を開設するなということなのだろう。

三井住友銀行

前職で経費精算口座として開設した三井住友銀行では紙通帳利用手数料や口座維持手数料(デジタル未利用手数料)が導入されている。2021年5月時点では、どちらも2021年4月以降に開設された口座を対象としているが、今後のサービス改悪で対象範囲が拡大される可能性はゼロではない。

紙通帳利用手数料は、2021年4月1日以降に新規開設した普通預金口座が対象ということになってはいるが、それ以前の既存口座に適用範囲が拡大されるないとは限らない。ウェブページの各種サービス説明・規定を見ると、「通帳発行形態に関する特約」などというものを作成している。”この特約は、当行と預金契約を締結する個人(以下「預金者」といいます)が当行に有する普通預金口座について、普通預金規定(または総合口座取引規定)に加えて適用され”てしまうそうである。そして、第4条の「規定の変更等」に記載のとおり、今後も銀行側の裁量で自由に改訂することができる設計になっている。規定や特約は銀行と預金者が相互に結ぶ約束であるにも関わらず、銀行からは一方的にその約束を反故にすることができるというのもおかしな話である。

デジタル未利用手数料はもっと危険である。一見、紙通帳と同じように新規口座が対象のようではあるがトリック(?)が隠されている。「普通預金規定」によれば、”別途表示する一定の期間、預金者による当行所定のご利用がない預金口座”から”別途表示するデジタル未利用手数料の引落しを開始することができる”ことになっており、対象口座や手数料額に何らの制限も無い。2021年5月現在では対象外とされている、「一定の取引が2年以上無い」口座、「2021年3月31日以前に開設されている場合」といった条件は、銀行が自由に変更できるもので、気がついたら多額のデジタル未利用手数料が抜き取られている可能性もある。

なぜここまで三井住友銀行に不信感を抱いているのかと言えば、それは2021年9月に予定されている手数料優待サービスの変更内容を見たからだ。これは優待サービスの条件を見直すもので、預かり資産残高の基準を30万円以上から500万円以上へと10倍以上引上げるなど、適用範囲を極端に小さくする方向への改悪である。そのうちの一つで最も悪質と言えるのが、Web通帳の条件を廃止するものだ。これまで、提携ATMやATM時間外手数料の無料を条件としてWeb通帳の契約を勧誘していたにも関わらず、それを廃止するというのだ。それならばと、通帳発行方式に戻そうとすれば通帳再発行手数料を徴収するというのだから質が悪い。これを騙し討ちと言わずに何と言うのだろうか。

みずほ銀行

みずほ銀行にも、取引状況に応じて手数料が無料になる特典を提供するみずほマイレージクラブや、手数料徴収の規定が存在する。大規模システム障害で目論見通りには進まないかも知れないが、「みずほe-口座および通帳発行手数料に関する特約」は三井住友銀行の特約と似たような内容である。また、”当面の間「無料」”とはなっているが、「インターネット支店取引規定」ではミニマムバランスフィー(口座維持手数料)の記載がある。みずほの残高は30万円程度しかないため、今後、手数料が有料化された場合に、”所定の取引内容に満たない”可能性は十分にある。

やはりネット銀行が正解

今般の三菱UFJのサービス改悪はこれまであまり気にしていなかった銀行サービスを確認するよい機会となった。メガバンク三行の個人向けサービスは徹底的にスリム化されているが、特に三井住友とみずほでは、預金口座から手数料を徴収する準備をちゃっかり進めていた。我々のような個人顧客はコストでしかなく切り捨てたい気持ちも理解できるのだがあまりにも露骨で気分が悪い。また、気分だけなら何とでもなるが、油断をしていると口座維持手数料や通帳利用手数料を引き落とされる実害すらある。今後は手数料の条件等に変更が無いか定期的に確認が必要で、個人顧客にとってはこれが無駄なコストだ。インサイトゼロだが、やはり自分のニーズに合った個人に優しいネット銀行などへ切り替えるのが正解なのだろう。