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2021年度の固定資産税の納付はPayPay (ペイペイ) 決済が有利

住宅ローンやマンションの管理費、修繕積立金等、定期的に支払う住居関連費用は口座振替が一般的だが、固定資産税については支払方法の自由度が高い。窓口、コンビニ、スマートフォン決済、クレジットカード、ペイジー口座振替と、じつに多様な払込方法が用意されているが、この中で最も有利な方法は何か。ポイント還元や延滞金の条件を考慮した結果「滞納した後にPayPay決済」という結論にたどり着いた。

固定資産税の納付方法

東京都から納税通知書が届いた。マンションの固定資産税と都市計画税が一年分一括払いで147,200円である。第1期の納期限である6月30日までに、最低でも同期間分の39,200円は納める必要がある。

これまで固定資産税の支払にはペイジーを利用していた。ペイジーであれば銀行のインターネットバンキングから自宅で支払可能だ。納付書に記載されている番号だけを入力すればよく、金額や名前などは不要、振込手数料もかからない。100万円くらいまでは問題なく取り扱えるし、支払窓口やコンビニまで札束を持ってウロウロしたくもない。高額の請求書払いはペイジーだと勝手に思っている。と言っても、日常生活で請求書払いになることはほとんどないため、税金の支払い以外で利用するシーンは無い。

このように意外と便利なペイジーで税金を支払ってきたのだが、世の中には様々な決済サービスで溢れかえっている。政府がわざわざキャッシュレス決済サービスを乱立させたおかげで、多くの事業者がポイント付与でしのぎを削っている状況だ。どうせ支払うならばポイントを受け取れる決済サービスを利用したい。

スマートフォン決済

www.tax.metro.tokyo.lg.jp

都税の納付方法は複数あるが、ポイントが受け取れて決済手数料が不要なのはスマートフォン決済しかない。スマホ決済では、PayPayやLINE Payに加えて、2021年5月よりau PAY、d払い、Jcoin、PayB、モバイルレジが利用できるようになっている。PayBとモバイルレジは初めて聞く名前だ。Jcoinも含めて運営会社はお堅そうだが、利用者は増えるのだろうか。いずれにしても、この中から自分にとって使い勝手がよいポイントを付与してくれるアプリを選んで気持ちよく納税しよう。

ただし、来年以降もスマホ決済が利用できる保証は無い。自治体にも同じ運用なのかは不明だが、PayPayは2021年10月より決済システム利用料を加盟店から徴収することを予定している。加盟店の手数料負担がある事業者は他にもあるため、スマホ決済の手数料無料が将来も続くのかはわからない。

PayPayで固定資産税の支払い

PayPay広告

固定資産税はPayPay

スマホ決済アプリにはPayPayを選択した。ポイント還元はもちろんだが、利用可能な店舗数が最多で、そのポイントが無駄にならない。限度額もPayPay残高での支払いであれば50万円まであるため、住宅の固定資産税支払にも利用できる。青いバッジがついていれば登録クレジットカードでも25万円までの支払が可能だが、ポイントを受け取るためにはPayPay残高で支払わなくてはならないので注意しよう。

登録している銀行の生体認証に問題があり追加チャージに苦戦はしたのだが、支払自体は簡単だった。メニューの「請求書払い」から「請求書を読み取る」で納付書のバーコードを読み取り、支払方法を選択するだけだ。

PayPay支払完了

PayPay支払

この支払でボーナスが736円付与され、来月の還元率も+0.5%となる。

クレジットカード払い

クレジットカード払いでもポイントは付与されるが、決済手数料として納付額の0.8%(1万円ごとに73円+税)を支払うことになるので利用者にとって著しく条件が悪い。東京都にとっても払込手段としての口を用意するためにシステム構築やメンテナンスが必要でコスト負担が大きい。誰も得をしない決済方法を提供する必要があるのだろうか。多様な払込方法に対応しているだけなのかもしれないが、都税の支払では特別な事情が無い限りクレカ払いが選択肢にはならないと思う。

では、都税の支払でカード決済を選択するのはどんな特別な事情なのだろうか。一般的に、カード利用のメリットは支払を一時的に繰延べられることだ。都税では決済手数料0.8%を支払ってカード払いとすれば、支払サイト分だけキャッシュアウトを先延ばしできる。一方、都税の延滞金の割合は、最初の1か月が2.5%、それ以降が8.8%となっており、カード払いと比較するために2か月先まで支払が遅延した場合を考えると、延滞金は0.94%(= 1*2.5%/12 + 1*8.8%/12)となる。クレジットカードの支払が遅延したり、リボ払いとした場合には遅延損害金やリボ払い手数料が生じる点には注意が必要になるが、納付期限までの支払が難しい場合にはカードで時間を稼げばよいのだろうか。

1,000円未満の延滞金は徴収されない

支払が2か月遅延した場合には「延滞金 > 決済手数料」となると述べたのだが、実はこれは正しくない。東京都主税局の「税金の支払い」ページをよく読むと、”納期限を過ぎてしまった場合も、お持ちの納税通知書等で納税”が可能で、”延滞金が発生した場合は、後日延滞金のみの納付書を送付”されることになっている。そして、延滞金の計算では”全額が1,000円未満の延滞金は切り捨て”られることになっているのだ。少額の延滞金をいちいち徴収していると、納付書の印刷や封入封緘、発送に余計なコストがかかるため、このような運用になっているのだろう。この規定があるために、個人の所有する住宅の固定資産税程度であれば、1~2か月程度の延滞では「決済手数料 > 延滞金 = 0」になると考えられる。

このように延滞金の計算は納税者に優しい仕様となっているため、納付期限に支払いができない場面でもクレジットカードの出番は無さそうだ。キャッシュフローが苦しいのであれば、律儀にクレジットカードを使ってまで支払う必要はなく、支払自体を延滞すればよいだけなのだ。

最も有利な支払方法

2021年度の固定資産税の支払方法についておさらいをすると、50万円まで支払可能でポイント還元もあるPayPay決済一択となる。しかも、延滞金が1,000円を超える直前まで滞納した後にスマホ決済とするのが最も有利な支払方法だ。これは、納付期限を超過した納付書でも支払いができる、1,000円未満の延滞金は切り捨て、という仕様を最大限活用した、キャッシュフローを最適化したうえにポイントまでもらえる支払方法だ。

ただし、資金繰りに困っていない方については期限内の納付にご協力をお願いしたい。理由なく税金を延滞する行為が倫理観に反するため、すでに述べているとおり筆者は6月4日に全期分を一括で納付済みである。笑